ビジネスにおける戦略と戦術 ~ビジネスを加速させる2つのキーワード~
ビジネスにおいて、よく耳にする「戦術」と「戦略」という言葉ですが、意外とその違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
今更聞けないなんて言っているとあっという間に置いてかれてしまうので、ここでしっかりと覚えましょう。
ビジネスにおける戦略と戦術の違い
まずは戦略と戦術それぞれの言葉の意味を確認しましょう。
戦略とは
戦略とは、企業の課題解決や目標達成のために、進むべき方向性やシナリオのことです。
企業が目指している理想と、それに対する現状とのギャップを埋めるためにどんな風に物事を進めるのか、というシナリオが戦略にあたります。
戦術とは
戦術とは、戦略を実行するための手段のことです。
どんな新しい事業を展開するのか、どの業務領域の改善に取り組むのか、といった具体的に実行するための手段が戦術にあたります。
ビジネスにおける戦略と戦術の立て方
言葉の意味がわかったところで、次は戦略と戦術をビジネスに活用するためのポイントを押さえましょう。
戦略を先に決める
まずは戦略、すなわち目的達成のためのシナリオから考えましょう。
戦術を先に決めようとすると、後で戦略に沿わなくなってしまったり、本来の目的達成にはまったく意味のない行動を起こしてしまう可能性もあります。
まずは戦略を練って目的達成までのシナリオを明確にし、そのあとで具体的にどう行動するかを考えるようにしましょう。
現状を把握する
戦略を決める際に、大切なのが現状を把握することです。 企業経営における戦略の場合、現在の自社の特徴、競合他社と比較したときの自社の強みと弱み、市場でのポジショニングなど、自社とその周囲の環境をまず整理しましょう。
現状を正確に把握できればおのずと自社の強みをいかした戦略が立てられるはずです。
目的を念頭に置いて戦術を決める
戦略というシナリオが決まったら、次はそのシナリオに沿ってどのように行動を起こせばよいのかを考えましょう。
このとき重要なのは必ず目的を念頭に置いておくことです。目的をおろそかにして戦術を決めてしまうと、一見素晴らしい戦術に思えてもよく考えると目的と乖離しているということが起こりかねません。
戦術を決める際は、それが目的に即したものになっているか確認しながら進めるようにしましょう。
戦術と戦略・作戦の関係性
戦略と戦術を立てる上で、もう一つ重要なのが、「作戦」です。
作戦は戦略を実現するためのもので、戦術と戦略の間に位置しています。 企業経営の場合、経営戦略を実現するためのプロジェクトが作戦、各プロジェクトを成功させるための具体的な手段が戦術にあたります。
誰がリーダーとなるのか、どんなメンバー構成で挑むのか、何をもってプロジェクトの成功とするのかなどを作戦を明確にすることで、より具体的な戦術を立てることが可能になります。
ビジネスにおける戦略と戦術の例
戦略と戦術の立て方が分かったところで、実際、企業がどのように戦略と戦術を立てているのか、ユニクロと任天堂を例に見ていきましょう。
ユニクロの戦略と戦術
まずは、ユニクロの戦略と戦術についてです。 ユニクロは「コストリーダーシップ戦略」という戦略を選択し、アパレル業界における競合他社との差別化を実現しました。
コストリーダーシップ戦略とは、コストを抑えてサービスを安く提供することで他社より優位に立つという戦略のことです。コストリーダーシップ戦略を成功させるために、ユニクロは商品の企画から生産、物流、販売まで全て自社が一貫して行うSPA(specialty store retailer of private label apparel)という戦術を採用しました。
SPAを実行した結果、ユニクロは商流全体のコストを抑え、競合他社よりも安価に商品を提供することに成功しました。戦略に合致した戦術を選択・実行した結果、業界唯一のポジションを獲得することができたのです。
任天堂の戦略と戦術
次に、任天堂の戦略と戦術について見ていきましょう。 任天堂は「ブルー・オーシャン戦略」という戦略を選択し、競争者のいない市場で開拓をし、顧客層の拡大をしました。
ブルー・オーシャン戦略とは、競争者のいない市場を開拓し、高価値、低コストで提供することによって、他社を出し抜く戦略のことです。任天堂は、高機能や映像美が求められる時代の中で、あえて今までゲームで遊んでこなかった層をターゲットにする戦術を採用しました。
その結果、簡単な操作で、身体を動かしながら遊べる「Wii」を販売したことで、顧客層の拡大に成功しました。
戦略に合致した戦術を選択・実行した結果、任天堂は競争の激しいゲーム業界の中で、トップを走り続けています。
まとめ
戦略、戦術は企業経営で絶対になくてはならない要素だという事を感じていただけたであろうと思います。
しかし経営だけでなく一つのチームを運営していくのにも非常に重要な指針となりますので、今一度しっかり考えてみましょう。