営業の組織改革 ~生き残る組織を作る為に必要なこと~
グローバル化や新テクノロジーの登場、消費者ニーズの多様化などにより、ビジネスにおける競争がますます激化するなか、どんな企業、どんな組織においても「従来はうまくいっていた」方法では通用しなくなるタイミングが出てきます。
そのような時期を乗り越えて成功している企業が行う施策の一つが「組織改革」です。
本コラムでは、特に企業や営業に直接的な利益をもたらす営業組織の改革に必要な情報を、まとめてご紹介します。
営業の組織改革とは
営業部門に限らず、組織とは「特定の目的を持ち、それを達成するための集団」を指します。 そのため、組織改革が必要になるのは、冒頭でお伝えした「従来の方法ではうまくいかなくなってきた」など既存の体制では目的が達成できなくなった時です。
もう一つのタイミングが、営業組織が「あるべき姿」から外れてしまった時です。 営業組織にとっての目的として、多くの企業では「営業目標の達成」や「営業利益の最大化」が設定されていることと思います。
営業組織としてのあるべき姿とは、「営業目標の達成」のためにメンバー間でコミュニケーションを取り、協力し合っている状態です。自社の営業組織がこうした状態でなくなったときもやはり営業部門の組織改革が必要です。
組織改革については、下記の記事もご覧ください。
【関連記事】
組織改革をする上で重要なフレームワーク7S
組織改革で問われる「リーダー」の役割
では、営業組織を改革する際に営業部門のリーダーは、どのように立ち回れば良いのでしょうか?
まずはリーダー自身が、営業組織の目的やあるべき姿を詳細に理解する必要があります。そのうえで、営業組織内に「目的」と「あるべき姿」を発信し、メンバーに浸透させます。これらが、一人ひとりの行動指針となり意識と行動が変わることで、組織内の雰囲気が変わります。
これで、マッキンゼー社が提唱する「7S」のうち、「Style…スタイル」と「Shared Value…価値観」の2つが変革できます。
ほかに改革が必要なSについては、次章で詳しくお伝えします。
組織改革に必要なこと
営業組織改革のためには、上記のほかにも変革が必要な要素があります。
営業成績を底上げするための教育の実施
マッキンゼー社が提唱する「7S」でいう「Skill…スキル」を向上・強化するための教育を実施します。
その前段階として、現状の営業プロセスを可視化し把握する必要があるでしょう。営業成績の良いメンバーとそうではないメンバーとの営業プロセスにおける差異を明らかにし、成績の良いメンバーのプロセスに近づけるための研修プログラムを作成・実施します。
併せて、成果指標を設定しておき教育の実施前後で指標の変化を確認し、効果測定を行いましょう。指標の数値が改善していなければ、教育プログラムを見直す必要があります。
教育だけではどうにもならない部分があれば、外部からスキルのある人材を採用することも検討しましょう。「7S」の「Staff…人材」に該当します。
営業活動やノウハウの情報共有のためのシステム導入・仕組みづくり
マッキンゼー社が提唱する「7S」でいう「System…システム」を変革するために、制度の整備やツール導入などを行います。
営業組織を改革するための大きな狙いとしては「情報共有」があり、このためのシステム・ツール導入や、その準備段階としてデータのフォーマットを揃えたり整理したりといった作業が必要になります。
営業に関する情報を資産と位置付け、社内で共有・活用することにより営業活動の効率化や生産性を最大限アップさせることで、営業組織全体が生み出す利益の底上げを行います。
組織改革を阻む重要な課題
組織改革を行う際は、改革されなかった期間が長いほど営業メンバーからの反発も大きなものとなるでしょう。ここでは、組織改革を阻む課題のなかから重要なものをご紹介します。
営業組織改革への意識のギャップ
先ほどもふれましたが、組織改革の必然性を強く感じているのは往々にして経営層だけというケースは少なくありません。結果として、現場との温度差が生じてしまうことになります。
場合によっては、メンバーから「そもそも組織改革に同意していない」という不満の声が挙がるかもしれません。しかし、メンバー全員に意思決定権があるわけではありません。全員の総意を待っていてはいつまでも改革を実施することはできないでしょう。
ギャップ解消のためには、先ほどもお伝えしましたが、リーダーが営業組織の存在目的と組織のあるべき姿について共有し浸透させていくことが大切です。
新しいシステムやツール、ワークフローに対する現場の抵抗
前項とも関連しますが、慣れた既存の方法から新しいものへと切り替わる際、現場のメンバーは、戸惑ったり不満を抱えたり反発したりするでしょう。しかし、新しい方法を定着させなければ、営業組織の改革は成功しません。
新しい制度やシステムを導入することで得られる、メンバー一人ひとりのメリット、営業組織全体へのメリットをそれぞれ説明し、理解を得ることが重要になります。
まとめ
いうまでもありませんが、組織を改革するには大きなそして継続性のあるエネルギーが必要です。
組織改革はトップダウンで行われることが多いものですが、リーダーの思い付きの発言でなんとなくスタートを切ってしまうと、いきあたりばったりの改革になってしまい失敗することも少なくありません。
ゴールと道程を見据えた上でしっかりと計画を立て実行しましょう。