営業支援システム(SFA)を入れたからOKじゃない!よくある失敗と気をつけるべきポイント
米国で生まれ、1990年代後半から日本でも広がり始めたSFA。導入済みの企業も多いですいが、そのすべてで成果を出せているわけではなく、導入が失敗に終わったところも多いようです。
当たり前のことではありますが、SFAを導入しただけで売上が上がるわけではありません。自社の課題解決を叶えてくれるSFAを選定することは大前提として、導入にあたりおこなうべきことがいくつかあります。
本コラムでは、SFA導入の失敗パターンと、失敗しないために注意すべき点についてご紹介します。
よくある失敗5パターン
まずは、陥りやすい導入失敗としてよくあるパターンを確認しておきましょう。
1. 現場の社員が使ってくれない
SFAを導入したものの、入力作業が煩雑だったり使いづらかったりして、結局は現場の社員が使ってくれないという失敗パターンです。 多くの場合、SFA導入を主導するのは現場の営業マンではありません。組織にとってメリットがあると判断して導入を決定したのはマネジメント層でも、実際に営業データを入力するのは現場の社員です。現場の社員がデータを入力するメリットを感じられなければ、単に業務が増えただけと捉えられてしまうでしょう。 また、蓄積したデータの活用法がわからなければ、SFA活用は進みません。 SFA導入によってマネジメント側での管理や分析の効率化が図れるだけでなく、たとえば日報作成・管理の効率化の実現など、現場の社員に直接的なメリットが出なければ導入は成功しません。
2. 入力作業が負担となり逆に効率が悪くなった
入力画面へ到達するまでの画面遷移が多かったり、入力項目が多かったり、入力しづらいインターフェースだったりして、営業活動を効率化してくれるはずのSFAが逆に効率を悪化させてしまったという失敗パターンです。 営業活動のデータが入力されなくなってしまえば、データを活用した分析なども行えません。「導入したけれど、結局は定着しなかった」という事態になってしまいます。
3. データを集めることだけが目的になってしまった
手段が目的化してしまい、データを集めることだけが目的になってしまったという失敗パターンです。 本来ならSFAに蓄積したデータを元に分析や予測などをおこなって営業戦略に役立てるはずが、とにかく営業活動に関するデータの種類・量を溜めることだけが意識され、結局、分析などの活用が進まないというケース。分析できる人材がいないといった理由もこの失敗の原因になりやすいため、専門知識がなくても分析できるようなツールを選ぶ必要があるでしょう。
4. そもそも自社に合っていないSFAを入れてしまった
導入前の自社課題の洗い出しや目的設定を詰め切れていないままに導入が進んでしまい、自社にマッチしないSFAを導入してしまったという失敗パターンです。 SFAに共通する機能はありますが、SFAの種類によって中心となる機能や強みは異なります。自社の営業活動が抱える問題・課題を改善してくれるツール、自社の運用体制に合ったSFAを選定しなければ定着せず、効果も期待できません。さまざまな機能はあってもどれも不要で、かえって現場は混乱するといった事態になりかねません。
5. 操作が難しく使いこなせる人材がいない
導入したSFAの機能が高度で操作が難しく使いこなせる人材がいなかったという失敗パターンです。 種類によってはOffice系のアプリケーションのように誰にとっても使いやすくわかりやすいSFAもありますが、多機能だったり高度な活用が可能なSFAであるほど、ユーザーのITリテラシーが求められます。 自社の営業部員のITリテラシーを把握し、無理なく使えるSFAを選ぶ必要があります。
失敗しないために気をつけること
上記のような失敗事例を踏まえ、どうしたらSFAの導入失敗を回避できるか考えてみましょう。
1. 目的の明確化
まずは、SFAの導入により何を実現したいのか、目的を明確化することが第一歩です。
そもそもSFAとは、営業活動を可視化・効率化して売上と営業利益を最大化するためのツールです。
ただ、このままでは範囲が広すぎて活用の方針がブレやすくなってしまうため、「各営業案件の進捗状況を可視化したい」「業務報告の効率改善」といった具体的な目的へとブレイクダウンするのがポイントです。
強みや比重が置かれている機能が課題解決や目的と合致するSFAを選びましょう。
2. ルール作り
SFAの導入後も、導入以前の各営業担当者が個々に顧客情報や案件情報を管理していた頃の各自のルールのまま情報入力を行っていたら、入力項目や書き方が統一されずバラバラなため、効率良くデータを活用することができません。導入に合わせて運用ルールも整備する必要があります。
入力内容のルール作りと合わせて、入力を徹底させるためのルール作りも重要です。
多忙な営業担当者にとって、新たにデータを入力するタスクが増えることは歓迎しづらいでしょう。
入力していないメンバーには入力を促すなど働きかけつつ、入力状況を人事評価に反映させるなど、営業担当者が自発的に入力してくれるような仕組みを作ることが大切です。
3. 運用体制の最適化
ルール作りと並行して行って欲しいのが、SFAの運用体制の最適化です。導入に当たり、管理者が1~5名ほど必要になってきます。
管理者は、導入時は、社内向け説明会の調整や、場合によってはマニュアルの作成、見込客・顧客リストの登録や初期設定、運用開始後は入力状況をチェックしたり、不具合が出たときにベンダーとの連絡窓口になって問題を解消したり、機能追加を検討したりといった業務を担います。
4. 現場との連携
SFA導入が現場主導で行われることはまれで、経営層から情報システム部門に指示が行き、導入が進められるといったケースが多いでしょう。
現場をよく知らない人が導入を進めた結果、現場に受け入れられず、SFAが定着しないという事態を避けるため、現場と連携しながら導入を行う必要があります。
これにより「現場の負担を最小限で済ませるにはどうしたら良いか?」「現場にとって本当に便利な機能は何か?」といった観点が持ち込まれ、現場との親和性の高いSFAを導入することができます。
5. 適切なツール選び
組織によって雰囲気が異なるように、最適な業務のスタイルも異なります。現状の業務フローが効率的なものであるかどうかチェックしたうえで、現状ともっとも近い使い方ができるSFAを選定・導入するのが定着のコツです。どんなに高機能で魅力的に思えるSFAでも、SFAありきではなく自社を基準としてもっとも合ったSFAを選ぶべきです。
機能だけでなく、ユーザーインターフェースやサポートサービスなど、さまざまな角度からどのSFAが自社に合っているかを検討することをおすすめします。
【関連記事】営業支援ソフト(SFA)の選び方 ~多様なSFAから自社に合ったツールを選ぶ~
まとめ
SFAの導入においてよくある失敗パターン5つと、失敗しないために導入時に気を付けたいポイント5つをご紹介しました。
数多くのSFAが提供されていますが、その中から実際に導入することになるのは、リプレースを含めても数点程度。選定したSFAが自社と合わなかった場合、無理に業務をSFAに合わせて使用するか、使われないまま放置されて導入コストを無駄にするかのどちらかです。
導入してから後悔することのないよう、先人達の失敗から学び、SFA導入を成功させましょう。