業務の属人化とは?~属人化が起きる原因と解消する方法を解説~
業務を標準化する上で、障害となるのが「業務の属人化」です。
業務の属人化を解消すれば、誰もが業務に関われるようになり、業務効率や生産性の向上につながる可能性があります。
本コラムでは、「業務の属人化とは何か?」「業務の属人化の原因」「属人化を解消する方法」について、ご紹介いたします。
1. 業務の属人化とは?
業務の属人化とは、企業の中で「業務の進捗状況や進め方を特定の人しか把握していない状況」のことを指します。
属人化が起きると、特定の人しか業務を進められない状況となるため、業務が円滑に進みにくくなる恐れがあります。なぜなら、担当者が休みを取った場合などの不在時には、ほかの社員では該当業務に対応できなくなるためです。
属人化が起きるということは「社内の情報共有や社員のスキルに偏りがある状態」であるため、品質にバラつきが生じやすくなるといったデメリットもあります。したがって、組織の中で誰でも同じ業務ができるように業務を標準化し、属人化の解消に取り組むケースが少なくないのです。
2. 業務の属人化が起きる原因
まず、属人化を引き起こしやすい原因について把握しておきましょう。
専門知識が必要な業務である
業務の遂行に専門的知識が必要な場合には、属人化が生じやすくなります。専門性の高い仕事は、高度な知識やスキルが求められるため、専門知識の高い人に仕事が集中してしまう可能性が高いためです。
簡単に共有できないような専門性の高い知識やスキルの場合は、手順書やマニュアルなどで伝えづらいことがあります。そういった共有が難しい背景があると「自分がやった方が早いから」という理由で後回しになってしまうことがあり、さらに属人化を助長する原因となってしまいます。
業務に追われているため、属人化に対処できない
業務が多忙を極めていることで、ほかの社員への情報共有・マニュアルや手順書の整備が難しいことがあります。多くの案件を抱えていたり、さまざまな業務に社員が対応していたりすると、十分な教育を実施する時間的余裕がない場合があるためです。
前述した「専門知識が求められる業務」の場合は特に、後輩への教育や周囲への情報共有まで手が回らないことも考えられます。
以上のように、「業務をこなすので手いっぱい」といった背景があると、属人化への対処が難しくなることがあります。
社内競走が激しい職場環境
社内競走が激化している職場の場合、属人化してしまうことがあります。営業や業務の成績でほかの社員と競い合っている場合、「自分だけの強み」を守ろうとする可能性が考えられるためです。
企業にとって属人化は解消すべき問題かもしれませんが、社員が望んで属人化を受け入れている場合もあります。特に、本人が「自分にしかできない仕事がある」ことを強みにしている場合や、属人化こそが社内評価の基準となっている場合は、属人化が顕著に出やすいです。
以上の点で、社員が「属人化を解消することにメリットを感じられていない」場合は、社内での評価軸を検討すべきかもしれません。
3. 業務の属人化を解消する方法
社内で属人化が生じている場合には、以下の対処法で改善する場合があります。
責任を割り振る
特定の人だけに責任や権限があると、属人化を助長してしまいます。特定の人に責任が集中していると、ほかの社員では対応できなくなってしまうためです。
そういった場合は、特定の人が持つ責任を他の社員に割り振ることで、属人化の解消につなげられるかもしれません。
したがって、個人が担う業務や責任・負担を分散し、誰かが休んでも対応できるようにしておくと良いでしょう。
知識や技術を共有できる仕組みをつくる
知識や技術が特定の人に偏らないように、共有できる仕組みを作ってみましょう。
手順書やマニュアルを整備すれば、担当者が不在でも業務を遂行できるようになります。
また、業務の進捗状況を共有できる仕組みをつくっておけば、誰もが業務を引き継いで遂行できます。
業務内容やマニュアルを共有できるツールやシステムを導入するなど、特定の誰かだけが業務を進められる状況を減らしていく施策を講じてみると良いかもしれません。
業務フローを見直して簡素化する
業務フローを見直し、簡素化することで属人化を予防できます。
業務の属人化は、難しい知識や技術が必要となる業務で起こりやすいといわれています。そのため、複雑な業務をできるかぎり簡素にすることで、他の社員も業務を遂行しやすくなり、属人化の予防となるのです。
もし、業務フローの中に複雑な工程や手順があれば、どこか工夫できるところがないか見直してみましょう。
4. まとめ
「業務の属人化」は、特定の個人に知識や技術が集中していたり、社内競走が激しい環境だったりといった背景から生じやすくなる問題です。
個人に業務が集中しすぎないように、「責任を割り振る」「マニュアルや知識共有の仕組みをつくる」「業務フローを見直す」などの対処法を講じれば属人化を解消できる可能性があります。
業務の属人化によって業務効率や生産性の低下などの問題が起こっている場合は、本コラムで紹介した項目を見直してみてください。