トークスクリプトとは?~作成手順から活用の際の注意点まで解説~
営業トークや顧客対応のシナリオを記したマニュアル「トークスクリプト」。
商談での会話の進め方がわからない、営業全体の成績が上がらないといった問題を解決するために役立ちます。
今回は、トークスクリプトの作り方について、メリットや注意点なども交えながらご紹介します。ぜひ参考にしてください。
トークスクリプトとは
トークスクリプトとは、商談や顧客対応の際の会話やシナリオをマニュアルとしてまとめた台本を指し、対面・非対面を問わず営業シーンで多く活用されているツールです。
営業全体の質向上に役立つなどさまざまなメリットがありますが、昨今では特に、テレワークでのオンライン商談でも情報や技術を共有できる手段として注目を集めています。
トークスクリプトを作成するメリット
まずは、トークスクリプトの重要性を把握するためにも、メリットについて確認しておきましょう。代表的なメリットを5つご紹介します。
営業品質が安定化する
営業トークは、マニュアルがない場合には非常に属人化しやすい業務だといえます。その点、トークスクリプトを活用すれば、個人のスキルや知識量によって大きな差が出ないようにすることができます。
「担当者しか知らない」「特定の社員しか対応できない」という事態をできるだけなくすためにも、トークスクリプトを作成するのがおすすめです。
自信を持って営業できる
営業担当者が不安げ・自信なさげに話していては、顧客に「相手の勧める商品は良いものである」と感じてもらうことは難しいでしょう。
トークスクリプトがあれば、話の順番や内容で迷うことなく商談を進められるため「間違ったトークをしているのではないか」という不安を軽減でき、自信を持って営業できるようになります。
トラブルを防止できる
ビジネスシーンでは、「以前の担当者はこの内容を説明してくれていない」「他の人に対応してもらったら言っていることが違った」といった担当者間でのズレによるトラブルが起こりがちです。
営業トークの基準となるトークスクリプトがあれば知識や情報・相手に伝える内容などを統一でき、トラブル防止にも役立ちます。
教育時間を短縮できる
新人に営業トークを一から教えるには、多大な時間やコストがかかります。また、人によって教えるトーク内容や順番が異なり、新人が混乱してしまうという事態も起こりかねません。
トークスクリプトがあれば教える内容を均一化でき、新人教育をスムーズに進められるでしょう。また、知識や経験が不十分でもトークスクリプトに沿って受け答えできるため、早い段階で現場に出て学ぶことも可能になると考えられます。
失敗の原因がわかりやすくなる
営業担当者のスキルアップには、商談を振り返り失敗の原因に対処することが欠かせません。一定の展開に沿って商談を進めることでほかの商談と比較しやすくなり、失敗した場合の原因がわかりやすくなるというのもトークスクリプトを活用することの大きなメリットです。
トークスクリプトの作成手順
それでは、実際にトークスクリプトを作成するにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。
4つのステップで解説します。
ペルソナを明確に定める
まずはペルソナ、つまり想定する相手の人物像を明確に定めましょう。
営業トークは、相手によって話し方が変わります。たとえば、20代の女性と話す場合と70代の男性と話す場合では、話の展開や訴求ポイントも異なるものです。
自社の業界において相手となる企業の担当者に、どのような年齢層・性別・役職の人が多いかを洗い出し、多く見られる人物像に合わせて作成しましょう。可能なら、ペルソナを複数人想定し、それぞれ作成するのがベターです。
ヒアリング内容を設定する
つづいて、ヒアリングする内容を設定しましょう。
法人営業においては、ヒアリングすべき項目として「BANT条件」と呼ばれるフレームワークがあります。
「BANT」とは「Budget(予算)」「Authority(決裁権)」「Need(必要性)」「Time frame(導入時期)」の頭文字を取ったもので、この項目に沿って作成することで適切なトークスクリプトを作りやすくなります。
BANT条件について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】
BANT条件とは?~活用するメリットからヒアリングの際のコツまで解説~
トークフローの骨子を作る
次に、設定したヒアリング項目に沿ってトークフローの骨子を作ります。
具体的には「受付を突破するためのトーク」「ヒアリングするときのトーク」「商品説明のトーク」などのパートに分け、それぞれシナリオを作っていくと良いでしょう。
トーク内容を入れ込む
最後に、作ったトークフローの骨子にトーク内容を入れ込んでいきます。
設定したペルソナにしっかりと合わせて、そのままの文章で話せるような口語体でトークを作成しましょう。実際の話口調に近い文体で記載しておくことで、不慣れな担当者でも機械的になりにくいという効果があります。
トークスクリプトを作成する際のポイント
トークスクリプトを作成する際には、いくつか大切なポイントがあります。
ここでは3つのポイントをご紹介します。
フローチャート形式で作成する
トークスクリプトを活用しやすくするためには、フローチャート形式で作成するのがベストです。
たとえば、こちらの質問に対してYesならAの返答、NoならBの返答というように分岐して進んでいく形式とすることで、会話の流れがわかりやすく、さまざまな状況に対応できます。
パターンをいくつか準備しておく
トークスクリプトは、相手の業種・職種や関心度合いに合わせて複数用意しておくと、より活用しやすくなります。
また、テレアポの場合・インサイドセールスの場合など、目的に合わせたさまざまなトークスクリプトを用意しておくのもおすすめです。
定期的に改善を行う
作成して終わりではなく、定期的にブラッシュアップを行うことも重要です。
実際に使用してみて改善すべき点が判明する場合のほか、社会情勢や商品の変化に伴って変更が必要となる場合もあります。問題点や情報が古い箇所などがないかをチェックし、改善していくよう心がけましょう。
トークスクリプトを活用する際の注意点
ここまでご紹介したように多くのメリットがあるトークスクリプトですが、注意しておかなければ逆効果となってしまう場合もあります。
たとえば、丸暗記して機械的に読み上げるだけでは顧客にもマニュアルを読んでいるだけということが伝わり、不快感を与えかねません。何度も読んで練習し、自然な話口調でトークできるようにしておきましょう。
自分が話している声を録音して客観的に聞いたり、ほかの人に聞いてもらったりするのもおすすめです。
また、抑揚や間の取り方も自然になるよう意識しましょう。
まとめ
うまく活用すれば、営業品質の均一化や売上向上にもつながるトークスクリプト。
今回ご紹介した作り方やポイント・注意点などを参考に、ぜひ有効に使ってみてください。