営業支援システム(SFA)でできること
営業活動を可視化し、案件管理や受注予測などを可能にする営業支援システム(SFA)。国内の導入率は約30%といわれており、3社に1社が何らかのSFAを導入しているとみられます。
ただ、導入企業のうちSFAを活用しきれていない企業が大半であるとの指摘もあり、営業データの一元管理にとどまらず、そこから先の業務効率化や利益向上につなげられるかどうかが活用成否の分かれ目になっているといえます。
本コラムでは、改めてSFAで実現可能なことを確認し、SFA導入・活用の成功のヒントを探ります。
営業支援システム(SFA)とは
営業支援システム(SFA)とはSales Force Automaitionのことで、営業に関連する情報を一元管理し可視化して、商談やパイプラインを管理し、受注予測などを行えるツールを指します。
過去に獲得した名刺情報を登録したりリスト会社などから購入した企業データをインポートしてベースとなる顧客情報を整えた後、営業活動のなかで得られる情報を逐次、入力し、分析することで営業効率や受注率を高めることができます。
SFAの導入・活用で実現できることについては、次章で詳しくご紹介します。
営業支援システム(SFA)でできること
営業支援システム(SFA)には、営業活動を可視化・分析し、効率化したり効果を上げるためのさまざまな機能が備わっています。活用すれば、以下のようなことが可能になります。
案件の進捗を管理できる
SFA導入により、営業担当者しか詳細を把握していなかった営業案件の進捗状況が可視化・共有され、管理しやすくなります。各営業担当者が商談のなかで得た顧客の予算や検討中の競合製品情報、現在どの商談フェーズにあるかといった情報が一元管理され、管理職はSFAを見ればすべての案件情報を把握できるため、受注予測のために営業担当者に各案件の進捗や確度を聞いて確認する手間・時間を大幅に圧縮できます。
また、パイプラインの管理も可能です。適正なパイプライン数を管理したり、滞留案件があれば部下へ指示するといったマネジメントが行いやすくなります。
営業担当者の活動を管理できる
SFAに蓄積される情報を営業担当者軸で見ることで、各営業担当者の活動を管理することも可能です。
テレアポのコール数は適正か、訪問数は確保できているのか、どのフェーズにもっとも時間をさいていて、それは妥当かどうか、必要なアクションが取れているかどうかなどを営業担当者一人ひとりについてチェックすることで、いち早くアドバイスや指示を行い、改善につなげることができます。
トップセールスのベストプラクティスを横展開できる
日本において営業職は長らく、勘や経験に基づいて判断・行動するものという常識が横たわっていましたが、SFAやCRM、MAといったツールの浸透とともに、データに根拠を求めるデータドリブンな営業手法に取り組む企業が増えてきました。
かつては、商談でのトーク内容や顧客への資料提供の時期・種類といった営業活動はブラックボックスであり、成績トップの営業担当者のノウハウを横展開するのは困難でした。
SFAの導入により、トップセールスがどんなタイミングで何をしているのかが可視化されるため、これを分析することで自社にとってのベストプラクティスを導き出し、組織全体へ展開することが可能になります。
極端にいえば、ベテラン営業マンにしか成し得なかった営業プロセスを入社したての新人でもトレースできるということで、営業人材の教育コスト低減にもつながります。
受注数・率を上げ、売上を向上できる
上記3項目の実現により、営業部全体の営業活動の質・量が改善され、受注ひいては売上の向上につながります。
そもそもSFAの大きな目的が「売上向上」であるともいえ、SFA導入・活用により売上がアップすれば、上手に活用できていると判断して良いでしょう。
受注予測精度を向上できる
SFAの集計・分析機能を活用することで、受注や売上を予測することができます。過去の商談結果などのデータを基にしているため、経験や勘を頼りにした予測よりも精度が高く、営業部門全体の予測はもとより、チームごと、個人ごと、製品別、月別といったさまざまな切り口での予測が可能です。
また、予実管理も可能で、進捗が遅れている案件の詳細確認もスムーズです。
まとめ
営業支援システム(SFA)は、運用体制を整えて機能を活用することで、営業案件の進捗や営業担当者の行動管理だけでなく、ナレッジの共有、予実管理などが行え、営業活動の改善につなげることで売上向上を実現できます。
約30年前に日本に上陸したSFAは近年、AI(人口知能)を搭載して予測精度を上げるなど、進化しています。
今後も、新しいテクノロジーを吸収して、時代に合った機能追加が期待されるSFAから目が離せません。