SNS時代で注目されるDual AISASとは?~生まれた背景から活用事例まで解説~
消費者の行動や心理を理解し、マーケティング戦略を立案するために必要不可欠な購買行動モデル。なかでも、近年はSNSでの情報共有などに適したDual AISASというモデルが注目を集めています。
そこで今回では、Dual AISASのプロセスや活用例、他の購買行動モデルとの違いなどをご紹介します。
ぜひマーケティング・営業戦略の参考にしてください。
Dual AISASとは
消費者が商品やサービスを発見・認知してから購入するまでのプロセスを購買行動モデルといいます。その中の一つとして2015年に開発され注目を集めているのがDual AISASです。
Dual AISASが生まれた背景
Dual AISASは、インターネットを通じた購買行動モデルとして提唱されていたAISASをさらに発展させ、より現代の行動パターンに即するように作られたモデルです。
従来のAISASでは、消費者が他社に情報を共有するのは商品を購入した後だと考えられてきました。しかし、SNSが幅広い層へ浸透したことにより、購入前であっても、また購入しない場合であっても情報を共有する人が増えています。
そこで、このような風潮を考慮し、「買いたい」行動モデルに加えて「広めたい」行動モデルの概念を取り入れたDual AISASが生まれたのです。
Dual AISASにおける2つのAISAS
ここからは、前述の「買いたい」「広めたい」の2つのAISASモデルについて詳しく解説します。
広めたいA+ISAS
購入するかどうかに関わらず情報共有を行う行動モデルを「広めたいA+ISAS」といい、SNSで情報が拡散していく動きをモデル化しています。広めたいA+ISASには、「活性化 Active」「興味・関心 Interest」「共有 Share」「受容・共鳴 Accept」「拡散 Spread」の5つの行動が含まれます。「活性化」についてはほかの4つとつながりループする流れではないため、「A+」と表記されています。
また、このモデルの状態にある人のことを「コミュニケーション関心層」といいます。つまり、広めたいA+ISASは商品やサービスに対する興味ではなく商品やプロモーションを通したコミュニケーションに対する興味をもとにしたモデルなのです。
コミュニケーション関心層は基本的に購入にはいたらない人たちですが、この層が拡散を行うことで商品自体に興味を持つ層にも広く情報が届くため、広めたいA+ISASも重視する必要があります。
買いたいAISAS
買いたいAISASは、コミュニケーション関心層とは違い直接購入につながる購買関心層に関する購買行動モデルです。従来のAISASと同じく「認知 Attention」「興味・関心 Interest」「検索 Search」「行動・購入 Action」「共有 Share」で構成されています。
なお、「興味・関心」は広めたいA+ISASにも含まれていますが、広めたいA+ISASの場合は「面白い」「友達や家族にも見せたい」という興味・関心であり、買いたいAISASは「欲しい」「使ってみたい」という興味・関心であるという違いがあります。
Dual AISASの活用例
では、実際にはDual AISASをどう取り入れていけば良いのでしょうか。実際の活用例を交えながらご紹介します。
これまでのAISASでは、認知から興味・関心へとつながるプロセスについてはあまり考えられていませんでした。認知されれば自然と興味を抱いてもらえるという考え方です。
一方でDual AISASでは、SNSなどのコミュニティで拡散してもらうことで認知から興味・関心へとつなげることを重要視しています。そのためDual AISASの事例として多く挙げられるのが、インフルエンサーや人気ブロガーに試供品を使ってもらい、感想などを共有してもらう方法です。
また、サービスの基本部分を無料、一部を有料とすることで試してもらいやすくする「フリーミアム」もDual AISASと相性の良い方法と言えます。プレイは無料で課金すれば強いアイテムが手に入るソーシャルゲームもフリーミアムの一つです。無料で気軽に試せることで、SNSなどで拡散してもらいやすくなります。
テレビとWebやSNSを連動させるDual AISASモデルの事例もあります。総合型リユースストアの「コメ兵」は、1社提供のテレビ番組「#モデる」でDual AISASモデルを活用していました。この番組は、SNSでハッシュタグをつけて投稿されたコーディネートの中から選ばれた人の自宅を訪れ、モデルとコーディネートを楽しんでもらうという内容です。
SNSにたくさん投稿してもらうことで情報を拡散させ、番組の視聴につなげた上で番組終了後にCMを流すことで認知度アップを図ったほか、プロジェクトサイトにも番組で採用されなかった投稿にモデルの一言を添えて載せることでECサイトへのアクセス向上にもつなげていた好事例と言えます。
このように、Dual AISASでは消費者の興味・関心を集め拡散してもらうことが重要ですが、それだけでなくいかに実利益につなげていくかということも考える必要があります。
AISAS・Dual AISAS以外の購買行動モデル
扱う商品・サービスによっては、AISASやDual AISASが最適な購買行動モデルとは限らない場合もあるため、適した購買行動モデルに添ってプロセスを構築することが重要です。ここでは、その他の代表的な購買行動モデルを3つご紹介します。
AIDMA
AIDMAは、“認知段階”である「認知 Attention」、“感情段階”である「興味・関心 Interest」「欲求 Desire」「記憶 Memory」、“行動段階”である「行動・購入 Action」の3段階・5つのプロセスで構成される購買行動モデルです。
ただAIDMAが提唱されたのは1920年代で、認知から購入までの大半がインターネット上で行われることも多い現代には即していないとする考え方もあります。
AISCEAS
AISCEASは、Dual AISASのもととなったAISASをさらに細分化した購買行動モデルです。「検索 Search」と「行動・購入 Action」の間に「比較 Comparison」と「検討 Examination」が加わっており、BtoCよりもBtoBに向けた購買行動モデルとされています。
DECAX
DECAXは「発見 Discovery」「関係 Engage」「確認 Check」「行動・購入 Action」「体験・共有 Experience」の5つからなる購買行動モデルで、消費者とコミュニケーションを取りながら行動につなげるコンテンツマーケティングの手法に対応しているのが特徴です。
広告などを利用して消費者に商品を認知させる従来のモデルとは違い、消費者から発見してもらうことでコンテンツを通した関係性を構築するというプロセスで作られています。
まとめ
ここまで、Dual AISASの特徴や活用例などについてご紹介しました。Dual AISASモデルを活かして戦略を練ることで、SNSが浸透した現代に最適なプロモーションを行えます。
ぜひ、この記事を参考にDual AISASモデルの詳細を把握して、マーケティング・営業戦略に取り入れてみてください。