ヤマトクレジットファイナンス株式会社様
営業組織の変革を機に営業情報管理基盤を整備
「DPS for Sales」による業務効率化が営業部門の行動変容へ
住所 東京都豊島区高田3丁目15番10号
事業内容 ヤマトホールディングス傘下の金融サービス企業として、
各種クレジットサービスや企業間売掛決済サービスなど多様なサービスを提供
設立 1974年
HP https://www.seika.com/
目次
概要
2010年代以降のFinTechの盛り上がりにより、BtoB、BtoCを問わずキャッシュレス決済の流れが加速し、多様な決済サービスや金融ソリューションが浸透している。ヤマトホールディングス傘下の金融サービスを担当するヤマトクレジットファイナンス株式会社(以下、ヤマトクレジットファイナンス)も、こうした市場環境を背景にビジネスを拡大している。一方で、営業の商談管理手法は事業単位でサイロ化していたり、場合によっては営業担当者ごとにやり方が異なったりして、データを基にした戦略的な営業活動がなかなかできていないという課題を抱えていた。市場の成長に合わせて効果的な顧客開拓を進めるために、営業情報の一元的な管理基盤を整備すべく採用したのが、NTTデータ イントラマートの営業支援ツール(SFA)である「DPS for Sales」だ。
課題
決済サービスの複雑な市場環境に対応できる組織に変革
営業情報を管理する統一基盤が不可欠に
ヤマトクレジットファイナンスの営業組織は、クレジット事業部とBtoB金融事業部の二つの組織に分かれている。決済サービスの加盟店や、各種金融サービスのユーザーを開拓するのは共通だが、前者はBtoCのビジネスを営む小売店などが営業対象で、後者は文字通りBtoBの企業、例えば卸販売などを手掛ける企業が主な顧客だ。
ただし、クレジット事業部とBtoB金融事業部ではターゲットの市場環境が大きく異なるという。BtoCの決済市場は拡大しているものの、スマホ決済の普及やFinTech系の新興企業の参入により決済関連サービスの競争は激化している。一方、BtoB決済の市場はそもそもの市場規模がBtoC決済と比べて桁違いに大きい。さまざまな決済サービスが普及の途上にあり、潜在的な需要が巨大であることに加え、売掛金の未回収リスクに対応するファクタリングサービスなどキャッシュフロー安定化に貢献する関連サービスの需要も大きい。
こうした複雑な市場環境に対応して効率的・効果的な営業活動を展開すべく、同社は2023年度、組織変革に着手した。クレジット事業部とBtoB金融事業部の企画部門を統合し、両事業部を横断的にカバーするインサイドセールス部隊も立ち上げた。BtoB金融事業部チーフマネージャーの赤羽照満氏は「インサイドセールスとフィールドセールスのスムーズな連携により営業活動の成果を高めるとともに、商談情報などを従来の事業部の枠組みを越えた戦略的なマーケティング活動につなげるためには、情報管理の統一基盤が必要だった」と振り返る。
従来の商談情報管理は、複数の手法が混在している状況だった。「10年ほど前は各営業担当者がExcelで営業日誌を作成し、それをプリントアウトして上長に確認してもらうというやり方だった」(赤羽氏)そうだが、2010年代半ばには大手外資系ITベンダーのSFAを導入し、見込み客も含めた顧客情報と商談情報を体系的に管理しようと試みた。しかし定着しなかったという。
「BtoB決済の営業では、お客様とのコミュニケーションはそれほど頻繁ではないため、営業の現場でもSFAにデータを入力するという作業が定着しつつあった。一方でBtoC決済の営業はお客様の数も非常に多い上に、お客様と日々コミュニケーションを取る必要がある。SFAをしっかり使うとなると、毎日大量の情報を入力・更新しなければならない。また、商談の内容をSFAに入力しても、稟議決裁のためにExcelの帳票に類似の内容を入力しないといけないケースもあるなど、営業側の負荷が大きかった。SFAの運用担当者が退職するなどの事情も重なり、特にBtoC決済の営業では日常的に使われなくなり、SFAは取引先情報の登録・管理に偏った使い方をしていた」(赤羽氏)
結果的にSFAの日常的な活用はBtoB決済の営業を中心とした一部の範囲にとどまり、多くの営業担当者が、Excelで作成した営業日誌やOutlookのスケジュール機能、メール、Teamsのチャットなど、SFA以外のさまざまなツールに営業活動の記録を残すようになった。その結果、管理者がチームとしての営業活動の現状について情報を把握するのに手間と時間がかかり、情報を蓄積しても戦略的な営業活動につなげにくかった。また、営業会議や幹部会議の資料を作成する際、さまざまなツールに散在している情報を手作業で収集して営業報告資料を作成しなければならず、営業事務の業務負荷も大きかった。DPS for Salesは、これらの課題を網羅的に解決できる新たな営業情報管理の基盤として採用された。
BtoB金融事業部
チーフマネージャー
赤羽 照満 氏
導入
SFAとしての機能の網羅性とコストのバランスも抜群
DPS for Salesの特徴である、 Excel連携・帳票作成機能も採用理由に
SFAの選定では、「従来導入していた大手外資系ITベンダーの製品も検討した」(赤羽氏)が、主に費用対効果が十分ではないという理由で選択肢から外れた。当初のSFAのライセンスは、ヤマトグループの他企業の契約に合わせて共同利用していたこともあり単価が安かったが、契約形態上、ヤマトクレジットファイナンスのニーズに合わせて自由にカスタマイズすることができないという課題があった。また近年、グループの組織再編に伴い契約ライセンス数が削減されボリュームディスカウントが小さくなり、ヤマトクレジットファイナンスが利用しているライセンスの単価が上がってしまったという事情もあった。
国産ITベンダーのSFAも複数製品を比較検討したが、取引先情報、商談情報、スケジュール管理や売上管理・予測といったSFAとしてのベーシックな機能の網羅性とコストのバランスでは「DPS for Salesが群を抜いていた」とクレジット事業部マーケティング課アシスタントマネージャーの本田智久氏は評価する。「 DPS for Salesの特徴である、Excelをベースにオリジナル帳票を作成したり登録したりできる機能は非常に魅力に感じた。当社はExcel文化が根付いている会社なので、ぜひ使ってみたいと考えた」(本田氏)
SFAの標準機能の充実を評価してDPS for Salesを採用したため、カスタマイズ開発などは行わずにスピード重視で導入を進めたが、旧SFAからのデータ移行は一筋縄ではいかなかった。
同社のターゲットとなる取引先企業は十数万件と数が多く、取引先担当者の情報や案件情報も含めるとデータの量は膨大。「数字を入れるべき項目に文章が入っているなど、そのままデータを移すとエラーになってしまうような不備が散見されたため、最低限のクレンジング作業を行ったが、想定以上に時間がかかった」と本田氏は話す。また、DPS for Salesへのデータインポートは一度に処理できる件数に制限があったため、分割しての対応が必要だったという。
それでも本田氏を中心としたプロジェクト担当チームの尽力により、1カ月の準備期間で旧SFAからのデータ移行を完了。2023年10月から本格運用を開始した。現在は約60IDを本社や支店の営業担当者に割り当てており、管理者やシステムのメンテナンス担当者分などを合わせると、合計76IDを運用中だ。
クレジット事業部
マーケティング課
アシスタントマネージャー
本田 智久 氏
効果
情報の集約や検索に要する時間は10分の1に
インサイドセールスとフィールドセールスのスムーズな情報共有も
DPS for Salesの導入直後から、従来業務の効率化の効果は顕著なものがあったという。クレジット事業部マーケティング課アシスタントマネージャーの遠藤広也氏が真っ先に挙げたのは、過去の商談記録や活動内容の検索性が上がったことのメリットだ。
「従来は過去の商談記録や活動履歴を参照するのに、Outlookのスケジュールやメール、Teamsなどから対象の活動履歴を検索して確認する必要があったため、1件あたり10分程度を要していた。DPS for Sales導入後は1分以内で必要な情報にアクセスできるようになった」(遠藤氏)
さらに本田氏は「Excelと連携した帳票の作成や登録がしやすいというメリットも存分に生かされている」と手ごたえを語る。さまざまなツールから手作業で情報を集約していた営業報告資料の作成が短時間で完了できるようになった。また同社の営業部門では、営業担当者一人ひとりに対して、顧客訪問件数など毎月の営業活動を定量的に可視化した資料を作成、送付し、業務の改善に役立ててもらう取り組みも行っている。この資料の作成を効率化するために、DPS for Salesで管理している活動件数のデータなどを自動で反映できる帳票も作成。資料作成に要する時間は10分の1程度まで短縮された。
こうした導入効果は、営業に携わる幅広い層の行動変容にもつながっている。「DPS for Salesは出先でモバイル端末からも利用できるので、商談前に過去のデータを参照してお客様との最適なコミュニケーションにつなげている営業担当者は増えている。また、役員が率先垂範してくれていることもあり、日々の営業活動の記録をこまめにチェックし、部下にタイムリーかつ適切なアドバイスをできる管理者が増えた」(赤羽氏)
○システム導入図
クレジット事業部
マーケティング課
アシスタントマネージャー
遠藤 広也 氏
未来
intra-martのワークフロー機能なども積極的に活用
データドリブン型営業の基盤づくりを進める
今後はDPS for Salesで活用できる帳票をさらに拡大していく。「営業の予実管理なども含めて半ば自動的にレポーティングが完了し、営業会議のための資料作成工数をさらに削減したい。将来的には全ての営業報告をDPS for Salesから出力する環境を目指す」と本田氏は話す。
また、ヤマトクレジットファイナンスはDPS for Salesの導入にあたって、ヤマトグループのセキュリティ要件との兼ね合いなどもあり、「Accel-Mart Quick」を採用している。 Accel-Mart Quickはノーコード・ローコード開発機能を備え、業務アプリケーションの開発・運用が可能なアプリケーションプラットフォームであり、今回導入したDPS for Salesは本サービスの営業支援機能の一つだ。 Accel-Mart QuickのSFA以外の機能も活用し、ペーパーレス化や営業事務の一層の効率化も進める。遠藤氏は次のように説明する。
「もともとはSFA機能に特化して使おうと考えていたが、現在はintra-martをフルに使える環境があるなら使ってみようという方針だ。紙の書類で社内回覧している書類もまだあるので、intra-martのワークフロー機能を使って、営業が回覧する書類のデジタル化などを積極的に進めている」
デジタルマーケティングツールと連携する仕組みも構築しており、ゆくゆくは「提案活動やマーケティング施策の高度化にも取り組んでいく」(赤羽氏)方針だ。DPS for Salesに蓄積したデータを基に、ターゲット分析や商談プロセス見直しに取り組み、データドリブン型の営業活動にシフトしていく。