株式会社ライフドリンク カンパニー様
営業日報を「DPS for Sales」で脱Excel・脱属人化して一元管理
営業担当者と事務スタッフの生産性を向上し、年間1,348時間の工数削減
住所 大阪府大阪市北区梅田3丁目3-10 梅田ダイビル10階
事業内容
ミネラルウォーター、茶系飲料、炭酸飲料、茶葉製品などの製造、販売を手掛けるメーカー
設立 1972年
HP https://www.ld-company.com/
目次
概要
クラウドコンピューティングの浸透により、ビジネスアプリケーションの選択肢は広がった。優れたUIを持ち、直感的に使うことができるユーザーフレンドリーな製品も増えてきた。一方で、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤としての情報システム整備には、データ活用をいかにスムーズかつ効果的に進めるかという視点も従来以上に重要になっている。飲料メーカーの株式会社ライフドリンク カンパニーは、日報管理をはじめとする 営業事務の生産性向上を進める中で、SFAとしてNTTデータ イントラマートの「DPS for Sales」を導入した。業務の現場での使いやすさだけでなく、将来にわたって業務改善・改革やビジネスの成長にデータを活用しやすい仕組みを構築し、日報管理にかかわる生産性を大幅に向上させて年間1,348時間の工数削減を実現した。
課題
上場準備で進めてきたガバナンス強化と情報システムの整備
日報管理で営業事務の負荷削減と一元的な情報管理の実現へ
1972年に設立されたライフドリンクカンパニーは、市場ニーズの変化に適応してビジネスモデルを随時アップデートしてきた。祖業は茶葉の製造・卸販売だが、やがてペットボトルで水やお茶を飲むという文化が日本に根付いたことから、2000年代初頭に同社もペットボトル飲料に進出。食品や調味料なども扱い、総合食品メーカーとしてビジネスを拡大した時期もあったが、近年は飲料事業に経営資源を集中。ミネラルウォーターやお茶を中心に全国に構える自社工場をフル稼働させて生産量を最大化し、その販売先も確保する「MAX生産MAX販売」を標榜し、攻めの事業を展開している。
人財本部本部長の浅井祥平氏は、「昨今の物価上昇を背景に小売各社からのプライベートブランド飲料のOEMが伸長している」と話す。2020年にはECによる直販も開始し、新型コロナ禍期間中の巣ごもり需要を追い風に、新たな有力販売チャネルとして成長を支えている。「コロナ禍と重なったのはたまたまだが、自社商品の販売も当初の想定以上に伸びている」(浅井氏)
2021年12月に東証二部(現在はスタンダード市場に集約)上場を果たし、2023年6月には東証プライム市場に市場区分を変更しているが、上場に向けたガバナンス強化と同時に情報システムのモダナイズと再整備にも取り組んできた。2020年から3カ年のIT投資計画を立て、販売管理システムを中心とした基幹業務システムを1年半という短期間で刷新したほか、さまざまな業務のデジタル化やRPAを活用した自動化などによる生産性向上のための施策も積極的に進めてきた。
そんな中、営業部門で課題となっていたのが、アナログな業務が散在する営業事務の負荷だった。人財本部情報システム部部長の松本泰三氏は次のように振り返る。「社内にExcel文化が根付いていたこともあり、営業日報も営業担当者がExcelフォーマットで作成していた。そのため、営業チームの活動を組織単位でまとめた資料を作成する場合などは営業事務担当者が手作業で情報を収集・集約していたが、担当者がライフイベントなどで長期間休むと日報が遅延してしまうなどの問題が顕在化していた」
社内のファイルサーバーに点在する全ての営業担当者の日報のExcelファイルを開き、必要な情報をコピー&ペーストする手間が大きな負担になっていたことに加え、そのノウハウが属人化していたことも大きな課題だった。従来、既存の取引先情報はマスタを整備して一元的に管理していたが、見込み客の情報を一元管理する仕組みもなく、営業事務担当者が日報に記載されている見込み客の情報の名寄せを行っていた。こうした属人化のリスクを排除するためにも、情報の一元管理は必須だったという。
さらに情報システム部門としては、データドリブン型の企業文化に変革するためにも、情報基盤の一元化が必要だという問題意識もあった。こうした課題を網羅的に解決すべく、SFAとして2022年に導入したのがDPS for Salesだった。人財本部 本部長
浅井 祥平 氏
導入
データ活用がしやすいアーキテクチャであることを重視
低コストで導入・運用が可能な点も採用の決め手に
製品選定では、従来進めてきた業務基盤のデジタル化との一貫性を特に重視したという。ライフドリンクカンパニーは上場準備にあたって、ペーパーレス化を大々的に進めるべく、先行してエンタープライズ・ローコードプラットフォーム「intra-mart」を専有クラウド環境で利用できる「Accel-Mart Plus」を採用。各種申請・決裁のワークフローや電子帳簿保存法に対応した文書管理、社内ポータルなどの仕組みを構築していた。松本氏は「基幹システムと対を成す情報系のシステム基盤としてAccel-Mart Plusを位置付けており、SFAもAccel-Mart Plus上で動くものがないか、というのが製品選定の出発点だった。そうした経緯もあり、まさにその要望どおりの製品だったDPS for Salesの採用はすんなり決まった」と振り返る。
松本氏はこれまでさまざまな企業で情報システム担当として手腕を振るってきた。プロフェッショナルな情シスの視点で重視したのは、将来的なデータ活用やシステム間のデータ連携がしやすいデータ構造を持っている製品か否かという点だったという。「ローコード開発基盤などでUIが優れた製品はたくさん出てきているが、中身を見てみるとデータ管理がマスタで制御されていないなど、情シス視点ではきちんとしたデータ構造になっていないものも多い。その点intra-martは、Oracle Databaseでも、Microsoft SQL Serverでも、 データソースとして主要なRDB製品にスムーズに接続でき、蓄積したデータを分析したり、別のシステムにつないだりしやすい仕組みが整っていた」(松本氏)
また、SFAパッケージとしての機能と価格のバランスや、料金体系も採用を後押しした。松本氏は「外資系ベンダーの有名製品などと比較して圧倒的に低コストで導入・運用できるにもかかわらず、機能面もよくできていて使いやすいと感じた」と評価する。また「Accel-Mart Plusという基盤がある上で、SFAのモジュールをサブスクリプション型の料金体系で気軽に試すことができるようになっているのもポジティブな要素だった」と話す。
人財本部 情報システム部 部長
松本 泰三 氏
導入にあたっては、カスタマイズをしないことを決断。ECでの直販が成長しているものの、人手を介した営業活動としてはB to Bの水やお茶の販売に絞って注力している。そのため比較的社内の営業スタイルも均質で、営業部門の方針としても合理的かつシンプルに動く営業スタイルを推奨していることから、SFAパッケージの標準機能でカバーできると判断したかたちだ。
Accel-Mart Plusの環境構築とDPS for Salesのモジュール追加は1週間で完了し、運用を開始した。これに先立ち、情報システム部が営業チームに対して「運用指導」を行った。Excelで運用していた日報を踏襲するかたちで入力項目を統一したり、必要なマスタを整理したりする必要があることを丁寧に説明して理解してもらったという。こうした準備が奏効して営業チーム側の活用もスムーズに進んだ。一連のプロジェクトでは、intra-martのセールスパートナーであるエクシオ・デジタルソリューションズ株式会社が製品選定から導入、運用までを支援している。
効果
日報管理のデジタル化により、年間約1,348時間もの業務工数を削減
Excel管理では不可能であった指定した条件での一覧表示が可能に
2022年6月に12ユーザーでDPS for Salesの運用を開始し、直後から定量的な効果が確認できた。クラウドアプリケーションであるDPS for Salesにはモバイルデバイスからの入力も可能で、営業担当者の業務効率向上につながっているほか、日報が自動的に一覧化されるようになり、取りまとめの手間や情報の検索にかかる時間が大幅に短縮された。営業チーム全体で1日あたり5.5時間程度(年間約1,348時間) もの業務工数を削減し効率向上の効果が確認できたという。ただし、「この数字は導入当初に最低限確認できた定量効果。現在はユーザーも25ユーザーまで拡大しており、比例して業務効率化の効果は大きくなっているほか、細かく定量化できない部分でも幅広い導入効果を実感している」と松本氏は説明する。
「取引先や商談期間など、条件を指定した上での一覧表示が可能になったため、より戦略的な営業活動が進めやすくなった。これはExcelフォーマットの日報ではできなかったことだ。また、モバイルデバイスからの入力に音声入力を使って、さらなる業務効率化を追求している営業担当者もいる」(松本氏)
定型業務に充てる人的リソースの削減という観点でも、営業日報の取りまとめが自動化されるだけではないメリットがあった。日報をまとめた資料は経営層や経営企画部門にも共有しているが、従来は営業事務担当者が個別にメールで送付していた。DPS for Sales導入後は、集計帳票の機能を使ってレポートを出力し、メールで送付するまでをRPA連携で自動化している。また、従来は営業チームの人数が増えると日報を取りまとめる手間も増え、営業事務の残業時間が積み重なっていたが、SFAを導入したことでそうした課題も解決できた。
〇システム概要図
未来
生成AIとDPS for Salesの組み合わせでデータ活用を加速
取引先マスタの自動更新に利用するなど運用高度化も
DPS for Salesの導入により、営業活動のデータ管理を一元化する基盤を整備するという目的は達成できた。今後はデータ活用の高度化に向けた取り組みを本格化させる。登録する項目や区分を増やしてデータの価値を高めたり、基幹システムと連携させ取引先マスタの自動更新に利用したり、予実管理にも活用できるようにするなど、運用の高度化を図る方針だ。
生成AIとDPS for Salesを組わせたデータドリブン営業も推進したい意向だ。「必要に応じてさまざまなレポートを簡単にアウトプットできたり、営業の意思決定におけるサジェスト機能を実装したりすることも可能になる」というのが松本氏の見立てだ。ファインチューニングやRAGなど、自社データに基づいた生成AIの業務利用を可能にする技術も出てきている。
松本氏は「生成AIの進化のスピードは加速しており、この波に乗らないことはビジネス上のリスクになり得る。事業部門のヒアリングなども行って、AI活用のシナリオとゴールをある程度明確にしつつ、積極的に事例をつくっていきたい」と意気込んでいる。
導入パートナー
エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社
当社は、通信建設業であるエクシオグループ株式会社における、システムインテグレーション(開発)の中核会社として2022年4月に設立しました。エクシオグループ株式会社と一体的に運営する中で、システム開発機能の中核を担うビジネスユニットとして事業を行っております。
ライフドリンクカンパニー様では、2020年に「intra-mart Accel-Mart」を導入頂き、ワークフローを中心とした情報系の基盤を整備されました。
その後、営業活動効率化を目的としたSFA導入において、短期間で導入が可能で、現状の運用から無理なく利用可能な「DPS for Sales」を選定頂き、営業活動や
バックヤード作業の業務改善に取り組まれております。
今後も「intra-mart Accel-Mart」と生成AIの連携など、更なる業務改善の推進において、貢献させて頂きたいと考えております。
関西支店 イノベーションシステム事業部
山添 浩史 氏(左)
関西支店 イノベーションシステム事業部
勝田 浩司 氏(右)