DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

数年前から「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を見聞きする機会が増えました。

「なんとなく理解できているようで、実は何のことを言っているのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、DXの基本について解説するとともに、なぜDXを推進する必要があるのか、DXを推進する上での課題などについてご紹介します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション/ Digital Transformation)は、日本語では「デジタル変革」と訳され、最新のデジタル技術を駆使することで、経営戦略や提供製品・サービス、業務フローなどを変革させることを表す概念です。

ともすれば、最新のデジタル技術を導入する点にばかり目が行きがちですが、テクノロジーを活用して「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス/Customer Experience)」をいかに向上させるかという観点が重要です。これを実現できれば、結果的に競争力も高まります。

もう一つの視点として、「従業員が働く環境の変革」があります。「従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス/Employee Experience)」、つまり、従業員が働くことを通して得られる体験を向上することです。たとえば、報酬を上げたり福利厚生を充実させることや、職場環境の向上を行うことうことで、業務に使用する最新のテクノロジーを導入することも含まれます。

もっとも「テクノロジーを活用して業務フローなどを抜本的に改革する」ことで、DXの真価は発揮されるでしょう。従業員体験の向上が、ひいては顧客へ提供する製品・サービスの向上につながります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)はなぜ必要なのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)はなぜ必要なのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できるのは、ICTを中心とするテクノロジーの進化のおかげですが、DXが叫ばれるのには「時代が求めるニーズ」など、いくつかの理由があります。

消費者の「これまでにない体験」へのニーズの強まり

先進国では、すでに十分にモノが行き渡り、さまざまな市場が飽和状態にあります。これまで「モノ」を売ってきた企業も「体験」を価値とした「サービス」を提供する方向へとシフトしてきています。

消費者が求める理想としては「思いも付かなかったような未知の体験」が究極的ですが、もう少しハードルの低いところでは、これまでのテクノロジーでは実現不可能だった不便・不満の解消や利便性を実現するサービスなどが考えられます。

デジタルディスラプションの進行

ビジネス視点で見ると、もう一つの側面があります。それは、DXを先行して成功した企業により、市場が崩壊しかけている現状です。DXにより、既存の商品・サービスの価値が下がり、市場変化が起きていることを「デジタルディスラプション」とよびます。

企業は、DXによってさらに付加価値の高い製品・サービスを生み出さなければ淘汰してしまう状況にあります。

既存のITシステムの老朽化

「2025年の崖」でも触れますが、日本で「IT化」という言葉が流行した2000年前後に導入された基幹系システムを中心とする大型システムが近年、続々と老朽化を迎えています。

古い基幹系システムは、時代の変化とともに求められる機能をつぎはぎして使用されてきたケースが多く、システムの全容を把握している人が社内にもベンダーにもいない状態「ブラックボックス化」している企業が少なくありません。これが、後述するDX導入の課題にもつながっています。

こうしたシステムを維持するのにかかる人的・金銭的リソースが膨れ上がっているため、ITシステムを入れ替える必要があります。ブラックボックス化した基幹系システムのリプレースともなれば作業量は膨大になりますが、費用としても決して安くはない金額がかかってきます。

そこで、このタイミングでDXを見据えたシステムを選定することで、ピンチをチャンスに変えようという考え方です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の現状

DX(デジタルトランスフォーメーション)の現状

電通デジタルが2019年12月に発表した「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2019年度)」によれば、2019年9月時点における日本企業の70%がDXに取り組んでいるといいます。

同調査によれば、具体的な取り組み内容としては「業務プロセスや業務システムの先進化(24%)」が最も多く、次いで「製品サービスや業務に対するテクノロジーの活用(22%)」、「IT基盤の構築やソリューションの導入(21%)」と続きます。

また、取り組みを行う企業の60%で一定の効果が出ているとの認識があり、成果が出ている企業の68%がDXの専門組織と役職者を立てていることもわかりました。こうした日本におけるDXの実情も掴みつつ、自社のDXの取り組みを検討すると良いでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)の課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性やメリットを感じてはいても、実際にはなかなか踏み切れないという企業も少なくありません。主な導入障壁となっているのが、次の三つの課題です。

金銭コスト

DX推進に際しては何らかのデジタル技術を新たに導入することになるため、初期費用・運転資金がかかります。

このとき、既存システムと簡単に連携できれば良いのですが、レガシーシステムとよばれる古い基幹系システムを使用していたり、基幹系システムを利用せず部署ごとに異なるシステムを使っていたり、時間の経過に伴い必要になった機能を追加して肥大化・複雑化していたりする場合、連携のためには作業量と同時に費用もかさみます。

人材不足

前述の電通デジタルの調査結果では、DX推進をリードする専門組織と専任の役職者の設置が成果創出に重要であることが明らかにされています。

しかし、そうしたプロジェクトを立ち上げてメンバーを選出する以前に、ITに携わる人材そのものが日本全体に足りていないという状況があります。次章で詳しくお伝えしますが、経済産業省が発表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、2018年時点で約17万人ものIT人材が不足していると指摘されており、2025年には約43万人まで拡大すると予測されています。

「そもそも、日常業務においてITに人手が足りていないのに、DXまで手が回らない」という状況が日本の多くの企業に見られるという現状を示唆しています。

既存システムのブラックボックス化

「DX(デジタルトランスフォーメーション)はなぜ必要なのか」でも触れましたが、古い基幹系システムが機能をつぎ足して肥大化・複雑化された結果、システムの全容を把握している人が社内にもベンダーにもいない状態になりDX推進に伴うリプレースやデータ連携を阻みます。

仮に既存システムのまま最新のデジタル技術を導入しても、既存システムとのデータ連携が限定的であれば、DXの効果も限定されてしまいます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)と「2025年の崖」

DX(デジタルトランスフォーメーション)と「2025年の崖」

DX(デジタルトランスフォーメーション)が聞かれるようになった頃から、「2025年問題」や「2025年の崖」といった言葉を見聞きしたという方も多いでしょう。

2025年の崖とは、2025年前後にICTを中心とするテクノロジーに関する大きなできごとが相次いで予定・予測されていることから、企業などが対応に迫られることになる問題を指します。

まず2024年にNTTが固定電話網PSTNの終了を予定しています。2020~2024年でIP(インターネットプロトコル)網への移行を計画していますが、ISDNサービス(INSネット/ディジタル通信モード)は一足早く2024年初頭でサービスを終了する予定となっています。このため、INSネットやディジタル通信モードを活用しているPOSシステムやCAT端末、警備システムなどでは代替手段に切り替える必要が出てきます。

2025年には、ERP(基幹システム)パッケージベンダーの最大手である独SAP社が「SAP ERP」や「SAP Business Suite」の保守を終了予定です。この保守期限はすでに2回の延期を経ているため、再延期の可能性は低いと考えられます。

ここへ、2025年には、日本企業が使用する基幹系システムの6割が構築から21年以上経過することや、IT人材不足が約43万人にまで拡大するといった企業側の事情が重なります。

こうしたさまざまな問題が紛糾する2025年の崖を超えるにはDXが必要だということで、経済産業省は2018年9月に「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を発表し、警鐘を鳴らしています。

つまりDXへの取り組みは、企業が好むと好まざるとに関わらず、時代が要求する必然的なものであると捉えられます。

まとめ

DXの推進が多くの企業にとって非常に重要なテーマであることがご理解いただけたでしょうか?

新しい手法を取り入れることはコスト問題や現場の反発などがハードルとなり、簡単ではありませんが、時代がDXを求めていることも確かです。昔ながらのやり方に固執せず、一歩進んだデジタル化を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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