カスタマーサクセスとは?THE MODELに学ぶ顧客との関係作り

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どんな企業においても「商品やサービスを提供してそれで終わり、とにかく受注!」という考え方では、これからはうまくいかなくなるでしょう。

今は、製品やサービスの提供により、顧客の売上を向上したりコストを下げたりして顧客を成功させることに主眼を置いたカスタマーサクセスの考えが重要視されています。

顧客を成功させることで自社商材を長く活用してもらい、アップセルやクロスセルも交えながらLTV(Lifetime Value/ライフタイムバリュー)を上げることがその狙いです。

本コラムでは、THE MODELから学ぶ、カスタマーサクセスや顧客との関係作りの考え方について、ご紹介いたします。

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カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、顧客を自社の提供する製品やサービスによって成功に導くことを目指す取り組みを指します。

従来は、一度、受注した顧客との関係維持について、CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)やカスタマーサポートの軸くらいでしか語られませんでした。

しかし、CRMやカスタマーサポートは、顧客が困った時に連絡を受けて初めて行動を起こしたり、キャンペーンの案内などを行ったりする程度で、自発的に顧客へ連絡する類のものではありません。

一方、カスタマーサクセスは、待ちの姿勢ではなく、積極的に顧客の状況を分析して課題を浮き彫りにし、時には組織の中に入り込んで課題解消や利益向上のために能動的に顧客に働きかけていきます。

その中でLTVを向上し、自社の利益につなげていくという手法です。

カスタマーサクセスが必要になった背景

カスタマーサクセス界隈で「青本」とよばれる「Customer Success: How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue(放題:カスタマーサクセス―サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則―)」が米国で出版されたのが2016年のことです。

それ以前はなかったカスタマーサクセスが必要になった背景には、何があるのでしょうか?

サブスクモデルの標準化

営業の組織改革とは

一つ目に、サブスクリプション型ビジネスモデルが台頭し、浸透したことが挙げられます。

サブスクリプション型ビジネスモデルとは、定額制で商品・サービスを提供するスタイルもので、ユーザーニーズが「所有」から「利用」へ変化したことから支持されるようになりました。

サブスクモデルでは、継続利用してもらわなければ売上が途絶えてしまうため、顧客にうまく活用してもらってメリットを感じてもらい解約されないこと、そして、クロスセルやアップセルで顧客単価を上げることが重要になってきます。

LTV(ライフタムバリュー)の重要性

前項で「継続利用」や「アップセル、クロスセル」についてお伝えしましたが、サブスクモデルでは、LTV(ライフタイムバリュー)の概念が非常に重要になってきます。

LTVは顧客生涯価値ともよばれ、1件の顧客が生涯で自社にもたらす価値(利益)予測するための指標です。

このLTVを最大化することがサブスクモデルにおける最大のテーマで、これを実現するためには、カスタマーサクセスによる継続利用やアップセル、クロスセルの促進が大切なのです。

カスタマーサクセスで期待できる効果

前章でご紹介したように、サブスクモデルでは欠かせないカスタマーサクセスですが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?

主に、「解約率(チャーンレート)の抑制」「アップセル・クロスセル率」「オンボーディング完了率」「顧客平均単価」の4つがあり、これらは効果であると同時に、カスタマーサクセスに取り組む際に設定すべきKPIでもあります。

それぞれ、以下で細分化してご紹介いたします。

解約率(チャーンレート)の抑制

カスタマーサクセスの最大の目的ともいえるのが「解約率(チャーンレート)の抑制」です。解約率には、顧客数をベースにしたカスタマーチャーンと、定期的な売上をベースにしたレベニューチャーンがあります。

基本的に、解約率が低いほど顧客数と定期粗利は増加します。

顧客は、契約した製品・サービスを活用できていないと感じれば、「あってもなくても同じ」と考え、解約を意識するようになるでしょう。

また、継続利用しているということは、製品・サービスに一定以上の満足を感じていることの表れでもあります。

アップセル・クロスセル率

前項の解約を阻止することに成功すれば、その次にはアップセル(上位グレードへの乗り換え)・クロスセル(関連するほかの商材の追加契約)による顧客単価アップを狙います。

アップセル・クロスセルをしてくれる顧客は、継続利用の顧客以上にその企業や製品・サービスを信頼し、満足していると考えられます。

商材が単一である企業を除き、アップセル・クロスセル率をカスタマーサクセスの指標として立て、効果を測ることが可能です。

オンボーディング完了率

オンボーディングとは、もともと、船や飛行機に乗り込んでいる状態(on boarding)のこと。そこから転じて、企業や製品・サービスを船や飛行機に見立て、新しい乗組員が乗り物に慣れるまでのプロセスを指します。

つまり、自社の製品・サービスに使い慣れてもらうための操作講習やトレーニングを修了させられた率を向上させることが期待でき、これをKPIに設定します。

顧客平均単価

顧客平均単価とは、一般的に「顧客当たりの1回の平均購買額」ですが、サブスクモデルの場合だと、月もしくは年度などでの顧客当たりの平均購買額となり、

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月または年度の総収益÷総顧客数
————————————————————————————————–
で求められます。売上向上のためには、顧客平均単価の向上が重要です。

カスタマーサクセスに取り組む方法

フレームワークとは?

上記のような効果を出すために、実際にカスタマーサクセスに取り組む際は、どのような手順で進めれば良いのでしょうか?

1.自社の顧客にとっての「成功」を定義する

まずは、自社製品・サービスを活用した顧客の理想的な状態=「成功」を定義しましょう。

どのような状態を目指してカスタマーサクセスに取り組むのか、ゴールを決めておかなければ、どんな手段が最適かを検討・選択することもままなりません。

成果測定を行いやすい定量的な定義と、顧客と接する中で伝わってくるような定性的な定義との両面で社内の認識をすり合わせておくと良いでしょう。

2.顧客をLTVでセグメントする

自社の全顧客を成功に導くことが理想ではありますが、限られたリソースを効果的に使うには、顧客をセグメントしてそれぞれへ最適な配分で割り振る必要があります。

カスタマーサクセスにおける考え方の一つに、次章でご紹介する「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」があり、これを実施するためには、顧客を想定されるLTVで3層にセグメントする必要があります。

・ハイタッチ…一番高いLTVが見込める層で、大口顧客などが該当。
・ロータッチ…ハイタッチとテックタッチの中間の層。
・テックタッチ…LTVが一番低く、母数が一番多い層。

一般的には、ハイタッチ<ロータッチ<テックタッチの順に顧客数が多くなりますが、自社の戦略により、場合によっては2層にするなど、線引きを調整してください。

3.ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチでの具体的手法を検討する

前項でセグメントした各層への具体的な対応方法と対応内容を検討します。

一般的なハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの考え方は以下の通りです。

ハイタッチ

将来にわたり、自社にもっとも大きな利益をもたらすことが期待できる層であるため、ある程度、コストをかけた対応が可能です。

個別対応、訪問対応など、人件費や手間暇をかけて製品・サービスの活用支援を行います。

ロータッチ

ハイタッチほどコストはかけられないので、個別対応などは難しいですが、グループごとの対面対応など、ある程度までのコストがかけられます。

ハイタッチと、以下で説明するテックタッチの両方の性質を持つため、テックタッチの手法も取り入れつつバランスを取ります。

テックタッチ

顧客層の中では一番LTVが低いものの、数としては一番多いため、ICTなどテクノロジーを活用して一斉案内や一括対応、一律化した対応を行います。

以上をベースに、自社のリソースなどを加味して、アレンジを加えて施策を検討してみてください。

カスタマーサクセスはTHE MODELで考えるとわかりやすい

案件管理とは?

カスタマーサクセスを考える上で参考になる営業組織モデルが「THE MODEL」です。

THE MODELとは?

THE MODELとは、福田 康隆氏の著書『THE MODEL』で提唱された営業組織モデルで、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「外勤営業」「定着化支援」の4つに分けて分業し、各プロセスで「母数」「成功率」「ゴール」を数値化する点に特徴があります。

また、各プロセスにおける「ゴール」は、次のプロセスにおいて「母数」となり、続くプロセスにつながっています。

THE MODELが定義するカスタマーサクセス

THE MODELでは、「カスタマーサクセス」が重要なプロセスとして位置づけられています。

営業部門が受注した後は、「オンボーディング→導入支援→活用促進→契約更新フォロー→アップセル/クロスセル→テクニカルサポート」という流れをたどります。

THE MODELでは、この一連のプロセスの総称がカスタマーサクセスだとしています。

一連のプロセスの中で、担当部署が営業からサポートなどへと移り変わっていっても、流れが分断されず、一体化して対応することが大切だといいます。

単に、受注後の顧客をサポートして解約を阻止したりクロスセル・アップセルを促したりするだけでは、既存顧客対応の営業と変わりがありません。

上記プロセスを、各部門で分業しながらも一貫した顧客体験として提供することを意識する必要があるでしょう。

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まとめ

現代では、SaaS系商材を持つ企業を中心に、多くの企業にとってカスタマーサクセスに力を入れる必要性が高いといっても過言ではありません。顧客を成功に導くことが、ひいては自社の利益や経営安定につながるからです。

顧客視点、CX(顧客体験)など、顧客を大切にすることの重要性については、以前からいわれてきたことですが、ここで改めて自社と顧客との関係性について見直してみてはいかがでしょうか。そこから、自社の企業価値とサービス価値向上への取り組みの糸口がつかめるかもしれません。

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