セールステックとは?注目される背景と10のカテゴリ・7つの領域

フィンテック、ヘルステック、不動産テック…ここ数年で、「業界名×テック(テクノロジー)」という名称があふれました。その業界でテクノロジーの力を活用してイノベーションを起こすことを意味します。

この流れは、業界の区分にとどまらず、業務のカテゴリにまで及び、HRテック、セールステックといった言葉が生まれています。

本コラムでは、セールステックの最新カオスマップを紐解き、2021年現在のセールステックの姿に迫ります。

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セールステックとは

セールステック(Sales Tech)とは、営業や販売を意味する「Sales」と、化学技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語で、営業活動領域にテクノロジーの力を活用してイノベーションを起こすことを意味します。

具体的なテクノロジー(ツール)としては、SFA(Sales Force Automation/営業活動支援システム)やCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理システム)、MA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)、BI(Business Intelligence/ビジネスインテリジェンス)、グループウェアなどがあります。

時代の流れから、営業スタイルや営業組織も変革していく必要に迫られ、セールスイネーブルメントやインサイドセールス、カスタマーサクセスといった新たな考え方、手法も登場してきています。これらを実施する上では特に、デジタルツールを活用してデータを収集・検証しながら改善につなげることが求められ、セールステックと密接に結びついています。

セールステックの必要性

日本では将来的な人口減少が予想されており、市場の縮小や人材不足などが課題視されています。これを受けて、政府は「働き方改革」を提唱・推進してきました。

そんな折、新型コロナウイルスの感染拡大により訪問での営業活動が制限される事態が起き、非対面による営業活動への舵取りを余儀なくされました。

こうした背景を受け、業務効率化や生産性向上を実現するためにテクノロジーの力を活用しようというのがセールステックです。
セールステックを取り入れなければ、変化のめまぐるしいビジネス環境の中での競争力は弱まり、生き残れなくなる恐れがあります。

セールステックが注目される背景

セールステックが注目される背景には、「営業手法の変化」「少子高齢化による労働力不足」などがあります。

営業手法の変化

かつては、勘や経験といったあやふやなもので判断され、足で稼いでいた営業活動にも、徐々にデータドリブンな手法が取り入れられるようになりました。

BtoCでの購買フローにおいて、WebサイトやSNSを活用した情報収集が積極的に行われるようになったように、BtoBでも購買行動にデジタルが活用されるようになりました。顕在層は、問い合わせなどのコンタクトを取る前にあらかたの選定を済ませていますし、潜在層についても、飛び込み営業による提案で課題感と対処方法が明らかになったとしても、その場で即決するのではなく、そこからじっくり情報収集した上で比較検討し、最良な選択をしようとします。

このように検討段階でWebが活用されるようになった結果、従来の営業手法では思うように受注できなくなってきています。つまり、デジタルによる情報提供やマーケティングと組み合わせた営業手法が求められているのです。
デジタル上でマーケティングやセールスを行うメリットとして、見込客のWebサイト上での行動ログなどをデータで取得することが挙げられます。

そこで、データを活用したロジカルな営業手法が可能になります。さらに、データという確固たる根拠に基づいて意思決定が行われるため、結果がうまくいったとしても失敗しても、その原因を分析することもできるようになります。

少子高齢化による労働力不足

もう一つの背景として、少子高齢化による労働力不足が挙げられます。
人口が減少していく中、働き手は確実に減っていきます。そのような状況の中、かつてのように根性と足で稼ぐ人海戦術は使えません。もっと受注率が高くてコストも抑えられる、効率の良い方法が必要です。

自社ばかりではなく、見込客となる企業側にとっても同じことで、購買や商談に人手を取られたくないでしょう。そうした顧客側の事情を考えても、セールステックが必要です。

セールステックの10カテゴリ

「〇〇テック」に活用できるツールの一覧を、視認性の高いビジュアルで一目で把握できるのが「カオスマップ」です。

「サスケワークス」などのクラウドサービスを提供する株式会社インターパークが、2020年9月、営業活動を効率化する日本の最先端ITをまとめた「セールステックカオスマップ2020」を発表しました。

「セールステックカオスマップ2020」には、「1.MA」「2.オンライン商談」「3.CTI・電話アプリ」「4.フィールドセールス/SFA」「5.カスタマーサポート」「6.ペーパーレス」「7.グループウェア」「8.BI」「9.セールスイネーブルメント」「10.ローコード、ノーコード開発」の10のカテゴリが設けられています。

1.MA

MA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を行う上で生じる複雑な、あるいは定型的な業務を自動化し、効率化してくれたり、マーケティング活動を可視化したりすることで、マーケターを支援してくれるシステムのことです。

主にマーケティング部門で活用されるツールですが、マーケティング専門の部署を持たない企業などでは営業部門でも活用されており、特に、育成したリード(見込客)を選別するリードクオリフィケーションのフェーズは営業部門にも深く関わるため、営業部門での活用は有用です。

カオスマップには、「pardot」や「Marketo」「Hubspot」といった海外製の有名なものから国産ツールまで19つのツールが収められています。

2.オンライン商談

オンライン商談とは、訪問せずにPCなどをインターネットでつないで画面越しに商談を行うことで、このためのツールがカオスマップに収められています。

具体的には、「zoom」や「Skype」といった、営業分野に限らず幅広く使われているオンライン会議ツールから、営業分野に特化したものまで17のツールが収められています。

3.CTI・電話アプリ

CTI(Computer Telephony Integration/)とは、コンピューターと電話を統合したシステムのことで、電話をかけたり受けたりする際に画面上に顧客情報を表示させたり、録音した通話データをテキストデータ化する機能などが付いています。
アポイントの取得など、営業活動に電話は欠かせませんので、電話業務の利便性を向上させる意義は大きいといえます。

カオスマップには、「zendesk talk」や「MiiTel」など、22のツールが収められています。

4.フィールドセールス/SFA

フィールドセールスとは、顧客を訪問して行う従来型の営業手法のこと、SFA(Sales Force Automation/営業活動支援システム)とは、顧客情報や営業活動情報を入力・蓄積することで営業活動を可視化・効率化できるツールのことで、セールステックの基本ともいえる部分です。

カオスマップには、「sales cloud」や「cyzen」など、12のツールが収められています。

5.カスタマーサポート

カスタマーサポートとは、契約・購入した後の顧客の不満や疑問などを解消し、関係を維持構築していくための活動や、担う部門を指します。
膨大な顧客リストや現状、自社とのやりとりのすべてを人の記憶やメモなどのアナログに頼ることは現実的ではないため、デジタルツールの導入・活用は必須といえるでしょう。

カオスマップには、「zendesk」「Help Scout」など、ヘルプデスクに特化した12のツールが収められています。

6.ペーパーレス

ペーパーレスのカテゴリには、ビジネス文書やカタログといった業務に使用する紙類を電子データ化するツールが収められています。

カオスマップには、名刺管理サービス「アルテマブルー」や、電子契約サービス「CLOUD STAMP」といったペーパーレス化につながる16のツールが収められています。

7.グループウェア

グループウェアとは、主に社内向けの掲示板やタスク管理、ファイル共有といった機能を持つスペースのことで、情報共有やコミュニケーションによって業務効率化を向上させるためのツールです。

カオスマップには、「G Suite」のほか、「WaWaOffice」などが収められています。

8.BI

BI(Business Intelligence/ビジネスインテリジェンス)とは、企業内外で生成・蓄積されているビッグデータを経営判断に活用する手法や技術のことです。このために使われるツールをBIツールとよびますが、単に「BI」でツールを指すことも増えてきました。
BIツールには、可視化するダッシュボード機能や、分析機能などが付いています。

カオスマップには、「tableau」や「LaLeel BI」など、9つのBIツールが収められています。

9.セールスイネーブルメント

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業活動のすべての施策を総合的に計画・実行し、具体的な数値で効果測定を行う一連の取り組みを指します。
営業部門に限らず、営業の人材育成を担う人事部、営業ツールの開発や選定を担う情報システム部門など、営業活動に関わるすべての部門を横断して効果的・効率的な方法をトータルで見て設計・実行・効果測定などを行っていきます。

カオスマップには、セールスイネーブルメントに特化した「Sales Doc.」のようなツールのほか、業務改革・組織改革のためのプラットフォーム「Smartsheet」など8つのツールが収められています。

10.ローコード、ノーコード開発

ローコード、ノーコード開発とは、専門的なプログラミングの知識やスキルがない人でもアプリケーションを作成して既存システムと連携させるといった開発が行えるツールのことで、2020年版から新たに追加されたカテゴリです。

たとえば営業部門で実際に業務を行う担当者自身が使いやすいインターフェースを設計し、ニーズに合った機能を実装できるといったメリットがあり、ユーザビリティ向上が期待できます。これがひいては、業務効率化・生産性向上へつながるということです。

カオスマップには、営業分野に限らず幅広く対応できる人気のノーコードツールである「Adalo」や、「kintone」「yappli」など9つのツールが収められています。

セールステックの7つの領域

一方、情報サービスのCB Insights社が発表した「Sales Tech Market Map」によれば、セールステックは次の7分野にカテゴライズされています。
各カテゴリと、それぞれに属する日本で導入できる製品名をご紹介します。

営業加速ツール

営業加速ツールとは、営業活動を効率化してくれるツールのことです。たとえば、SFA(Sales Force Automaition/営業支援システム)がこのカテゴリに属します。
具体的な製品としては、「Sales Cloud」や「Microsoft Dynamics 365」、「eセールスマネージャーRemix Cloud」などがあります。

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顧客関係管理

顧客関係管理とは、受注後の顧客との信頼関係を構築し、良好な関係を保って契約を維持してもらったり追加購入をしてもらうことです。CRMやカスタマーサクセスツールがこのカテゴリに属します。
具体的な製品としては、「HubSpot CRM」や「Intercom」、「Senses」などがあります。

カスタマーサポート

カスタマーサポートのカテゴリに属するのは、受注後の顧客が抱える疑問や課題を解消するカスタマーサポート業務に利用できるツールです。
具体的な製品としては、「Zendesk」や「Freshdesk」、「OKWAVE IBiSE」などがあります。

インテリジェンス・解析

データドリブンな営業活動を推進していくと、多くのデータが蓄積されます。それらデータを活用するためのツールがこのカテゴリに属します。
具体的な製品としては、「Tableau」や「Actionista!」、「GalleriaSolo」などがあります。

顧客体験

顧客体験とは、プロモーションから検討中の情報収集、購入時、その後のアフターサービスまで、顧客が購買活動を通して体験することすべてを指し、多くの市場が飽和状態にあるいま、顧客体験の向上が求められています。このカテゴリには、MAなどが属します。
このカテゴリの具体的な製品としては、「Salesforce Pardot」や「Marketo」、「BowNow」などがあります。

コンタクト・コミュニケーション

営業活動の中で、顧客と直接、接点を持ちコミュニケーションを取ることは重要な要素。
商談などに活用できるツールがこのカテゴリに属します。
具体的な製品としては、「ベルフェイス」や「B-Room」、「ビデオトーク」などがあります。

人材開発・コーチング

営業の人材育成を効率化したり生産性を向上したりしてくれるツールのカテゴリです。
具体的な製品としては、「TANREN」や「Teachme Biz」などがあります。

セールステックを有効に活用するには

導入すればメリットの多いセールステックですが、ポイントを知っておくことでより効果的に活用できます。
ここでは、セールステックを有効に活用するためのコツをご紹介します。

自社営業部門の課題を把握し、セールステック導入の目的を明確に

セールステックに限らず、DXの推進や、単にデジタルツールを導入する場合もそうですが、実施や導入の目的を明確にしておくことが大切です。

セールステックの場合、営業活動を効率化したり生産性を向上させたりすることが導入の大まかな目的になりますが、その中でも自社の営業部門が抱えるどんな課題を解消したいのかをクリアにしておくことで、後々、効果測定もしやすくなります。

組織に浸透するまで運用を徹底する

これもセールステックに限らない話ですが、せっかく導入しても、しっかり定着しないままで中途半端に利用していたのでは、効果も半減してしまいます。この状態はしっかり活用できている状態とはいえないため、効果測定を行ったところで正しい結果も測ることができません。

現場の営業メンバーへの説明も丁寧に行い、協力してもらうことが大切です。
セールステック導入による各メンバーのメリットをわかりやすく提示し、実際に運用がスタートしてからも、疑問を解消できるような体制を整えましょう。

必要に応じて、組織や運用フローも適宜、変更する

前項とも関連しますが、運用を徹底するためには、もしくは、運用過程で、現状の業務フローや組織ではスムーズにいかなくなる部分も生じてくるかもしれません。その際は、必要に応じて、適宜、変更することも大切です。

変更によって、営業活動がより効率的になったり、売上向上に結び付く可能性があります。
変更実施の判断は、「変更によって組織の課題が解決するか」「セールステック導入の目的に合致しているか」を基準に行ってください。
そのためにも、当初の課題の洗い出しや目的を明確にするプロセスが必要です。

まとめ

セールステックの概要と、実際に活用できるツールをカオスマップやマーケットマップのカテゴリに沿ってご紹介しました。

営業活動において、情報の蓄積と分析は売上向上に重要な役割を果たします。
現時点で何のデジタルツールも導入していないというところはあまりないでしょうが、自社に合ったツールをしっかり活用し切れている企業ばかりではないでしょう。

この機会に、上記でご紹介したカテゴリを参考に、自社のセールステックを見直してみませんか。

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