営業のDX ~推進のポイントと導入すべきツール~

DX(Digital transformation/デジタルトランスフォーメーション)という言葉が日本で聞かれるようになってから早数年が経過し、大手やIT業界などを中心に導入する企業も増え、成功事例が公開されるまでになりました。

ただし、2020年12月に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』」によれば、調査対象(国内企業223社)のうち、9割以上がDXに未着手か一部のみの実施にとどまっているといいます。全社的な取り組みのハードルが高ければ、まずは部門ごとにDXを推進するのも手です。企業の稼ぎ頭である営業部門からスタートしてみるのはいかがでしょうか。

本コラムでは、営業部門で推進すべきDXのポイントや、導入・活用したいツールについてご紹介いたします。

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営業部門でDXに取り組むに当たり、まずは営業現場において何がDXなのかを定義しておきましょう。

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは

そもそも、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、最新のデジタル技術を活用することで、企業が製品・サービスや業務フローなどを変革させることをいいます。

先行してDXに取り組んだ企業のプロダクトにより、市場では既存の商品・サービスやビジネスモデルが陳腐化するデジタルディスラプションが起きています。そうした環境変化の中で競争力を強化するには、やはりDXで対抗するしかありません。

同時に、さまざまなツールやサービスが数多くリリースされ、手頃な価格から豊富な機能を選んで利用できる状況が整ってきたという好条件も手伝って、DXへのハードルが下がっているともいえます。

営業でのDXとは

営業の現場においては、当然ながら営業活動がDXの対象となります。
商談の創出から受注までのリード(見込客)とのコミュニケーションやそのための準備、これらに付随する事務作業や上長への報告といった一連の業務の一部、またはすべてをデジタルの力でより良く変革させることが営業現場におけるDXです。
マーケティング分野であるリードの創出や育成、選別といった部分も範疇に入ってくる企業もあるでしょう。
また、広い意味では、営業人材の採用や育成などもDXの対象に含まれます。

営業にDXは必要か?

日本では、少子高齢化が進んでおり、将来的に人口減が問題になることが指摘されています。営業活動においても、昔のように人海戦術で受注を取り売上を立てるという手法には頼れません。売り手側も人材不足なら、買い手側も人材不足であり、商談にゆっくり時間を割くことができなくなっているからです。

営業活動では「まずは会って話す」「足で稼ぐ」といった手段が通用しなくなる一方、購買活動でも、インターネットでの情報収集によって自社の課題の特定や導入サービスの絞り込みをある程度まで行った上で初めて、商談のアポを承諾するようになっています。

こうして人と人との接点が減少した分はデジタル接点の増強で補い、商談のスタイルや内容を変革することが求められます。

営業でDXを実現させるメリット・デメリット

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前章でお伝えした通り、営業にDXは必要なのですが、実際に取り組むにあたりデメリットといえる要素がないわけではありません。
ここでは、DXを実現させるメリットとデメリットをご紹介します。

営業でDXを実現させるメリット

まずは、営業でDXを実現させるメリットからお伝えします。

パンデミックや災害下でも営業活動を継続できる

新型コロナウイルス感染拡大により、移動や人との距離が制限され、対面による従来の営業活動はままならなくなりました。今回のコロナ禍が収束しても、パンデミックは歴史的に10年程度の間隔で発生しており、将来的なリスクへの備えは欠かせません。
また、地球温暖化の影響で大きな災害が起きやすくなっており、交通機関がマヒすることも想定して対策を立てておく必要があります。
こうしたパンデミック下、災害下での営業・購買活動をストップさせないことは、営業がDXに取り組む大きなメリットだといえるでしょう。

また、前章でお伝えしたようにこれから少子高齢化が進行する日本において、直接、対面せずに商談前後の時間を節約できることも、営業する側・される側のどちらにとってもメリットがあります。

営業活動におけるDXは、オンラインによる遠隔セールスばかりではなく、オンライン展示会や電子契約システム、VRなども活用できます。

営業部門の業務効率化や生産性向上を実現できる

営業部門にとっての業務効率化とは、営業活動にかかる時間や金銭コストの削減などです。
DXにより、オンライン商談で訪問のための移動時間や交通費が削減できたり、アプローチリストや提案書、日報などの作成時間を短縮できたり、業務や商談のために必要だったスペースを圧縮できたりするようになれば、業務効率化を実現できます。

一方、営業部門にとっての生産性向上とは、業務効率化のほか、受注率や売上などの向上です。たとえば、デジタルツールの活用により顧客や営業活動に関するデータを集約して一元管理することで営業活動の精度を上げ、受注率を上げることができます。

マネジメントの質を向上できる

営業部門のマネージャーにとってDXを推進するメリットは、マネジメントの質を向上できることです。

案件管理や各メンバーの進捗の把握などは、SFAなどツールの活用で精度を上げつつ効率化することができますし、何よりタイムラグなくリアルタイムに近い情報を把握できます。その分、指示や改善アドバイスなどもいち早く出すことが可能になります。

また、チームや個人の課題の把握と改善のための研修にも、通話録音システムや動画配信ルーツなど、デジタルの活用が可能です。

営業でDXを実現させるデメリット

一方、営業でDXを実現させるに当たってデメリットも存在します。

営業部門だけの取り組みではDX実現が困難

経済産業省はたびたびDXに関するレポートを発表していますが、基本的には経営層によるトップダウンで情報システム部門とともにDXを推進していくことが想定されています。
次項とも関連しますが、営業部門にITに詳しい人材がいない場合、営業部門単独で、もしくは営業部門が先頭に立ってDXに取り組むことは難しいでしょう。

DX推進のリーダーとなる人材が必要

前項でも触れましたが、DXのプロジェクトリーダーになる人材には、ITに関する知見を持ち、自社のビジネスモデルや全部門の業務を熟知していることが求められます。しかし、そうした人材が社内にいないケースも少なくないでしょう。
その場合、情報システム部門から求められるスキルに近しい人物を立てるか、外部から新たに採用するなど、ベストではない対応を取らざるを得ません。

営業のDXでやるべきこと

では、営業のDXにおいて具体的になすべきこととは何でしょうか?
本コラムでは、「リモートによる商談、顧客対応」「課題の抽出」「ツールや仕組みの導入」の3点をご提案します。

リモートによる商談、顧客対応

前章でもお伝えしたように、顧客側も営業担当と会って商談を行うことが大きな負担になりつつあります。
「リモートで対応できるものはリモートで行い、訪問は必要があるときのみ行う」という姿勢を基本とすべきでしょう。

ただし、「リモートに切り替えたことにより、商談・顧客対応の質が落ちないこと」が前提となり、これを実現するデジタルツールを選定することや、リモート商談やツールの導入に当たり業務フローを見直して最適化したり、個々の業務を精査したりする必要が出てきます。

たとえば、モニターを通してコミュニケーションを取らなくてはならないリモート商談では、直接対面しているときに比べるとお互いのちょっとした表情の変化を読み取ることが難しくなります。さらに、長時間の会話では集中力が保ちにくくなります。
このため、理論的かつ簡潔に会話を運ぶスキルを身に付けなければ、受注には結び付きにくくなります。
こうした変化を踏まえ、ツールの検討や業務の内容・フロー改善を進めましょう。

ツールや仕組みの導入

リモート商談を始め、DXにはデジタルツールの導入が不可欠です。もちろん、ツールありきになってしまっては本末転倒ですが、DXの定義に「最新のデジタル技術を活用すること」が含まれている以上、ツールの導入が前提となってきます。

ただ、言うまでもなくデジタルの力だけではDXは成功しません。経営戦略にのっとった変革の方針の中で、デジタルをどう活用するかという視点で選定すべきです。

また、前項でも触れましたが、ツールの検討と並行して業務フローの見直しも必要です。その中で、個々に手順などがバラバラに行われている業務があれば、営業部として統一できるような仕組みづくりも必要でしょう。仕組み化できれば、ミスの低減にもつながります。

具体的に、自社の営業部門にどんなツール・仕組みが必要なのかをあぶり出すために必要なのが、次項でご説明する「課題の抽出」です。

課題の抽出

DXを効果的なものにするために最も重要なのが、自社の営業部門が抱えるボトルネックとなっている点を抽出しておくことです。上記の「業務フローの見直し」を行う中で把握できた課題の中で、最も低い位置で障害となっている部分を見つけ出してください。
そもそも、ボトルネックとは瓶の首のことで、全体の流量を決める最も制約のある部分をいいます。処理能力や容量などが最も低い部分のことです。

DX実施によってボトルネックが解消できれば、営業部門の大幅な効率化・生産性向上につながるでしょう。
ただし、最初のボトルネックを解消すれば、2番手だった課題が新たなボトルネックとなり、ボトルネックは程度を縮小させながら移動していくことになりますので、PDCAサイクルを回し続け、改善を重ねる必要があります。

営業でDXを導入する際のポイント

マネジメントスキルを高める方法

上記のような施策を実施するに当たり、念頭に置いておきたいポイントをご紹介します。

狙いを明確にする

DXを導入するメリットや得られる効果についてはここまでに何度か出てきましたが、自社の営業部門でDXを導入するに当たり、目的や狙いを明確にしておくことで、判断に迫られる場面で迷わずにブレることもなくなりますし、効果測定がしやすくなります。

現状のIT化レベルを把握しておく

DXは「デジタルを活用して変革すること」なので、最終的には取り組み前からの大きな変貌が期待されますが、そもそもペーパーレス化も開始していないような状態から、いきなり最新のデジタルツールを導入して営業フローを変えるようなやり方では、現場の負担が大き過ぎます。

既存業務をデジタル化する「デジタイゼーション」、デジタル技術を活用しながら業務のプロセスそのものを変革させる「デジタライゼーション」を経て、DXに取り組むのが良いでしょう。

まずは、自社の営業部門におけるIT化レベルを把握し、次のステップから着手することをおすすめします。

営業プロセスを見直す

前項でも触れましたが、DXは単に最新のデジタルテクノロジーを導入するだけではないため、推進する中で営業プロセスの見直しや再構築の必要が出てきます。

現在の営業部門が抱える課題を洗い出し、それらの解決法としてDXが最適なのかどうかを一つひとつ検証した上で、必要に応じてデジタルテクノロジーを活用したり、営業プロセスを見直し、営業プロセスの再構築を行ったりという判断を行うことが大切です。

まとめ

営業部門におけるDX推進のヒントをさまざまな角度からご紹介いたしました。

営業部門において、DX推進の目的はボトルネックの解消や効率化・生産性向上ですが、自社の視点ばかりでなく顧客視点で進めていくことも重要です。

たとえば、直接対面できないリモートによる商談・打ち合わせでは、どんなツール、どんなトークなら顧客にとって負担がないかといったこともチェックしてみてください。

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